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【第五回】論争の余地なきおすすめの本ーエドマンド・バーク『フランス革命の省察』

【第五回】論争の余地なきおすすめの本ーエドマンド・バーク『フランス革命の省察』

こんにちは。

北畑淳也と申します。
今回は第五回といたしまして、前回に引き続き「論争の余地なき」という傲慢なタイトル付けで書評を書かせていただきます。

 

第五回は名前に馴染みの多い方は少ないかもしれませんが、カントを含めた多くの大哲学者の思想の基ともなったエドマンド・バークの『フランス革命の省察』をご紹介いたします。

 

 

あらかじめ伝えますと、私の考えるにこの本の読み方は二つあります。

一つは、いわゆる昨今の劇場型政治や「わかりやすい」政治を批判的に考察するエッセンスとして。

 

もう一つが、我々を真に啓発する自己啓発書として。

 

今日は、尺の加減もありますので、後者の見方で、エドマンドバークの『フランス革命の省察』をおすすめする理由をかければと考えています。

 


  1. 「変化」「成長」という言葉にとらわれる危うさについて

  2. バークが述べる第一に我々が大切にすべき精神とは

  3. 合わせて読みたいおすすめの本


「変化」「成長」という言葉にとらわれる危うさについて


「成長しなきゃ!」

「変わらなきゃ!」

 

昨今、多くの場所で多くの人がこう考えていると私は感じます。

それは、本屋に行くと特に感じるわけですが、売れている本というのは自己啓発本やビジネス書を筆頭として「自らをどう変えるか」「どうすれば成長できるか」に答えてくれる本が多いわけです。

 

しかしこの思想が本当に疑いもなくまっとうなものなのかということに気づかせてくれるのがバークの『フランス革命の省察』です。

 

この書の詳細は読んでいただくとして、バークのフランス革命への捉え方というのは一言で言えば、「現状を破壊及び否定すれば前進するというのは幻想であり、莫大な損害を被ることが少なくない」ということです。

 
自由を求める動きの高まりは、はじめの「あらゆる制約を取っ払いたい」という形で現れる。この段階で言えるのは、止めようのない勢いで何かが噴出していることに過ぎない。それは炭素ガスが爆発的に吹き出すのと似ている。よしあしを冷静に判断するには、この八方現象が静まるまでまたねばならない。

エドマンド・バーク『フランス革命の省察』

 

「変化」や「成長」という言葉に囚われすぎることは、時に「現状の徹底的な否定」をもたらします。しかし、自らの過去を否定することで、何が得られるのかということを考えるようバークは警告します。
自国の過去を全否定する誇大妄想や独善から、どれほどのメリットが得られたか、具体的に考えてもらいたい。革命の指導者たちは、自国の祖先を軽蔑し、同時代人も軽蔑した。彼らは自分たち自身のことも軽蔑するに至り、ついには文字通り軽蔑に値する存在に成り下がった。
エドマンド・バーク『フランス革命の省察』

 

 

バークが述べる第一に我々が大切にすべき精神とは


 

バークが我々にまずもって大切にすべきと述べるのは「保守」の精神です。
国体が見直されたり、修正されたりしたことはいままで何度かあった。注意すべきは、それらの見直しや修正に際して、変更された箇所や、新たに付け足された箇所だけが、われわれの幸福を支えているのではないということである。変更の必要なしとして、古来の形のまま残された箇所も、国家の重要な基盤なのだ。
エドマンド・バーク『フランス革命の省察』

*黒字下線は北畑

 

つまり、我々の幸福であったり、自由であったりなんにせよ、「変化」から生まれるだけではないということですね。

 

そして、「変化」というのは、あくまで「機能していない部分」に限られるべきで、我々の幸福や自由を本質的に支えている現状を可能な限り尊重することが重要だということです。

 

今のビジネス書や自己啓発書というのはそのまま真に受ければ、現状の否定こそ「善」という考えが刷り込まれかねません。

 

 

かのアイフォーンを発明したスティブジョブズもイノベーションはパクリから生み出したことは有名な話です。

 

今巷で騒いでいる人工知能なども急に現れたのではなく、これまでのテクノロジーの延長から生まれています。

 

私の考えでは、これからの時代に必要と言われているイノベーティブな人間とは語義矛盾に聞こえるかもしれませんが、あくまで「現状を最大限尊重する人」「伝統を重んじる人」から生まれてくると考えています。


 

「変化こそ素晴らしい」という方向に傾きすぎるこの時代にバークの『フランス革命の省察』は稀少な処方箋です。

 

合わせて読みたいおすすめの本



今回のバークの『フランス革命の省察』に同じく、現状の否定を推進力と捉えることの危うさを教えてくれる本を下記におすすめのものとしてあげます。



よろしければ読んでみていただければと思います。

 

マイケル・オークショット『政治における合理主義』

フリードリヒ・ニーチェ『悲劇の誕生』

福田恆存『保守とは何か』

エドマンド・バーク『崇高と美の観念の起源』

ハンナ・アレント『革命について』

ジル・デゥールズ『差異と反復』

山本七平『日本資本主義の精神ーなぜ一生懸命働くのか?』

ミシェル・フーコー『言説の限界』


*誤解なきように言わせていただきたいのですが、「変わるな」というメッセージではありませんのでご理解くだされば幸いです。変化すべきかどうかを常に細心の注意を払って考えに考えを重ねることが大切なのです。


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