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書評:高校生ワーキングプア:「見えない貧困」の真実

書評:高校生ワーキングプア:「見えない貧困」の真実

SDGs の第一番目にくるのが、貧困の撲滅。
私たちがまず目を向けるべきなのは、身近な貧困ではないだろうか。

NHKスペシャル取材班編著
『高校生ワーキングプア:「見えない貧困」の真実』(新潮社)
http://www.shinchosha.co.jp/book/405609/

・高齢者ワーキングプア、
・外国人ワーキングプア、
・高校生ワーキングプア。

高学歴ワーキングプア、ではなくて、高校生。

そう、義務教育ではないものの、勉強が本分である高校生が、アルバイトで家族と自らの生活を支え、大学に進むにも、伸るか反るかの大決断が迫られる。

高額の借金(奨学金という名のローン)を借りることすら、難儀している。

高卒での求人は、ここ20年で、10分の1に減少。高校を卒業しただけでは、正規の就職ができず、まさに八方塞がりなのだ。

子どもの相対的貧困率、14%。
ひとり親の貧困率は50%を超えている。

この貧困から抜け出すには、学歴をつけるか、学歴に匹敵する就職力・人間力をつけなければならないが、そのいずれも、カネがかかる。こうして、格差は固定化され、それぞれの階層間のコミュニケーションが遮断されたまま、貧困は、「見えなく」なっていく。

貧困は、社会全体の健康レベルにも影響与えるという研究結果がある。
cf.⇒イチロー・カワチなどによる研究:たとえば、http://societyandhealthlab.com/

金持ちが貧困対策にカネを使うべき根拠は、倫理的・道義的理由だけでなく、自分の生き残りのため、というところにも求められるだろう。

必要なのは、ロジックではなく、社会全体の想像力を取り戻すことだということだ。

貧困を野放しにするのは、教育だけでなく、社会全体をスポイルすることにつながる。

これがわかれば、私たちの眼の前には、貧困問題、教育問題にビジネスが可動する領域が広がっていることにも気づくはずだ。

(文責:原田広幸)

[EDIT]