book review

もし高校教師が『7つの戦略』を読んだら

もし高校教師が『7つの戦略』を読んだら

『あなたの会社が最速で変わる7つの戦略』書評
(神田昌典著・加藤鉱取材協力、フォレスト出版)

(撮影:花島成人、モデル:國井さえ)


「校長先生、生き残るためには、私は、何から始めればいいでしょうか?」

本書のタイトルは『あなたの会社が最速で変わる7つの戦略』。著者の神田昌典氏は、1999年に同じフォレスト出版から『あなたの会社が90日で儲かる!』を上梓しています。
あれから、17年……。時代は変わり、もはや「90日」で変わるとは言えなくなりました。
帯の「5年後、あなたの会社は消えている!?」は「あと残された5年をどう生きるのか!?」という著者からの提言です。

目次
はじめに 生き残るためには、売り上げ計画の桁をひとつ増やしなさい!
第1のビジネス戦略 「プラットフォーム化」によるビジネスモデルの構築
第2のビジネス戦略 教育プログラムをプラットフォームに組み込む
第3のビジネス戦略 数多くの試行錯誤を短期間に積む
第4のビジネス戦略 「Read For Action」によるイノベーターの育成
第5のビジネス戦略 業界をブレイクスルーする技術を開発する
第6のビジネス戦略 分業をパッケージ化して提供する
第7のビジネス戦略 秘められた人材能力の開発で組織を活性化する

神田氏は、2012年に『2022―これから10年、活躍できる人の条件』で「2022年には会社がなくなる」と大胆な予測をし、いち早く時代の流れを予見しています。
もちろん、本書の表紙裏にも以下のような言葉が。「2022年に世の中の価値観を一変させる歴史的大転換を迎える。そのとき、あなたの会社は生き残っているのか?」
さらに、第5のビジネス戦略で源麹研究所代表取締役の山元さんは、章末でこのように語っています。「私は東京五輪が開かれる二〇二〇年過ぎには、日本の成長は終わると考えています。(中略)それが限界を迎え、崖から突き落とされるのが二〇二〇年を過ぎたあたりだと予測しています。東京五輪後はかなりひどい状況が訪れることを、われわれは覚悟しなくてはなりません」
5年後の2021年と言えば、いま高校三年生の方々が、やっと社会人になったばかり。

今も日本のどこかの学校で、例えば、こんな物語が起きているかもしれません……。

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「ねえ先生、逃げないでよ!」
高校教師の神崎は、生徒からの質問に答えられなかった。月曜日の放課後。赤根朋子は顔を上気させている。
「進路指導で逃げないで!私の人生はどうなるの?」
神崎はこの教え子が苦手だった。いつも険しい表情で質問してくる。担当の英語の授業でも、神崎が思いもよらないことを聞いてくるのだ。
そんなに頼りないなら、もう質問しないでくれ……、と神崎は心の中で呟きながら、
「ごめん、これから臨時の職員会議だから、続きはまた明日」
と逃げるように立ち去った。

実は、職員会議があるのは本当だった。そして不幸にも神崎は、校長の肝いりで出来た「AO入試総合対策推進プロジェクト」の事務局に抜擢されたのだ。期限は無期限。英語科からは籍を抜かれ、プロジェクトに専従。しかも、メンバーは自分だけ……。
「じゃあ、神崎くん。後はよろしく頼むよ。最近、PTAからAO入試についてうるさくてね。来週の月曜日にPTAの前でプレゼンしてくれたまえ。テーマは、『5年後に生き残るためのキャリアデザイン』だ。なに、君は優秀な成績で大学を出たそうじゃないか。期待してるよ」
校長はそう言って職員室を後にした。
「ムリだ、俺には……。学校の勉強しか出来ないから教師になったのに。そんな俺が『キャリア』を語るなんて」神崎は学校からの帰り道、そう思った。

津田沼駅まで歩き、ふとショッピングモールに吸い込まれる。書店があるからだ。普段見るのは、雑誌と小説だが、今日は仕方なく、ビジネス書コーナーに足を運ぶ。TOEICで速読を鍛えた神崎は本を読むのが好きだった。前書き、後書き、目次、表紙、それに帯を見ながら、パラパラとAO入試に、5年後のキャリアに関係ある本を探していく。

電話が鳴った。結婚の約束をした彼女からだった。神崎は慌てて店を出ようとし、ちょっと戻って平積みの黒表紙を手に取った。帯には「5年後、あなたの会社は消えている!?」と書いてあった。

『あなたの会社が最速で変わる7つの戦略』

新宿に向かう電車の中で、本をめくる。冒頭にはこんな質問があった。
Q 生き残るためには、私は、何から始めればいいでしょうか?

これを赤根朋子の問いに置き換えると、
「5年後、社会人一年生となる私が、東京オリンピックを終えた人口減・超高齢化社会の中で、どのようにキャリアデザインして、第一志望大学の経営学部にAO入試で合格を果たすのか?そのための最初の一歩は何?」
となるだろうか。
神崎は電車の中でA4ノートと付箋紙を取り出して、気になるキーワードとページ数をメモしていった。これならPTAのプレゼンにもきっと堪えられる。いや、赤根朋子の質問にも答えられるかもしれない!

西新宿の居酒屋には彼女の吉田千帆とその兄の吉田伸輔が待っていた。
「いやぁ、神崎。今日は災難だったな」
唐揚げ好きで丸々と太った伸輔先輩は、神崎の学校で地理を教えていた。元はITバブルの頃にネットビジネスを手掛けていたらしいが、嫌気が差して教師になった変わり者だ。生徒から慕われているが、授業は雑談ばかりと悪評もある。
「先輩、この本どう思いますか?」
神崎は黒表紙を渡した。
「神田昌典さんね。有名な人だよ。昔は俺もよく読んでた。けっこうイケイケな感じだったな。しかし、お前なんかが読んで役に立つのか!?」
神崎はA4ノートと付箋を出して、堰を切ったように話し出した。
「あの、この本は企業が生き残る戦略じゃなくて、生まれ変わる戦略なんです!紹介された7社のイノベーションは、人材・教育に関するものが殆どです。もちろん、多くの失敗例や6年も掛かったプロジェクト、スクール事業からの商品化、海外戦略についても書かれてます。」
神崎は、「第4のビジネス戦略」を開く。
「僕は、三宅泰世さんが紹介した『Read For Action読書会』で毎年100人の高校生イノベーターを育てますっ!」
ビールジョッキをドンと机に置くと、吉田伸輔・千帆兄妹は呆気にとられてこう言った。
「へ、へ~……」

翌週の月曜、しっかり準備したプレゼンは、失敗だった。「おしゃべりなんかして授業になるの!?うちの高校でそんなの成立するの!?前例がない」というの理由だった。
翌日、神崎はボサボサに伸びた髪を切り、ホームルームでこう言った。
「え~、皆さんちょっと聞いてください。月曜日の放課後、5年後の皆さんに、似合うキャリアを考えます。課題図書は神田昌典さんの『あなたの会社が最速で変わる7つの戦略』。事前に読んで来る必要はありません。この読書会に参加できる方は後で、教えてください。」

赤根朋子はケラケラ笑いながら、もう手を挙げていた。

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神崎先生と赤根朋子さんのストーリー、いかがでしたでしょうか?

進路指導に悩む「一人の頼りない先生」が、「一人の生徒の悩み」をキッカケに、「一冊の本」と出会って成長していく物語。
この後、神崎先生は、見よう見まねで読書会を始めますが、やがて自分も週末に外へ出て読書会に参加するようになります。

それは、本書の
第4のビジネス戦略 「Read For Action」によるイノベーターの育成
で、NTTアドバンステクノロジ株式会社の三宅泰世さんが、
読書会を通した組織学習によってイノベーションが生まれる土壌を耕す
と「Read For Action読書会」を紹介していたからでした。

実際に、Read For Actionでは多くの学校の先生方が、学校の中や外でリーディングファシリテーターとして活躍されています。

先生向けの学校内研修、生徒さん向けの学校内読書会に関心を持たれた校長先生は、
今すぐ、こちらの「Read for Action協会について」
(https://www.read4action.com/rfa/about_association/)をご覧ください!

(2016.10.7 榎本すみを)