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【第十三回】論争の余地なきおすすめの本ー孔子『論語』ー

【第十三回】論争の余地なきおすすめの本ー孔子『論語』ー

ご無沙汰してます。

北畑淳也と申します。

 

今日も書評を書かせていただければと思います。よろしくお願いいたします。

 

 

十三回目はベタすぎて今更紹介するまでもない気もするのですが、孔子の『論語』を取り上げたいと思います。

 

『論語』という本の名前は誰もが聞いたことがある本として疑いの余地がないほどに認知されていますよね。

 

ですので、今日は中身はさておき、改めてこの本を繰り返し読む価値について書いていければと思います。

 

■目次

 ▶「とりあえず『論語』を読め」は悪くない

 ▶『論語』が日本人にとって重要な理由

 ▶合わせて読みたいオススメの本  

 

 

 

■「とりあえず『論語』を読め」は悪くない

なぜ『論語』が重要かということを書いていく手前にこんなことを言うのもなんですが、その返答には「とりあえず読め」だけでも良いという考えを私は持っている立場です。(じゃあ書評なんて書くなよと言われそうですが、、)

 

「なんで」という問いを持つことは大切ですが、まずは食べてみるというのも悪くありません。長年「うまい」と言われてきたお墨付きがありますから。

 

 

逆に「〇〇ができるようになる方法」を知るべく作られた本に中身があるのかと言われればいささか疑問です。

 

 

小林秀雄も岡潔との対談の中で以下のように述べています。

暗記強制教育だったと、簡単に考えるのは、悪い合理主義ですね。「論語」を簡単に暗記してしまう。暗記するだけで意味がわからなければ、無意味なことだというが、それでは「論語」の意味とはなんでしょう。それは人により年齢により、さまざまな意味にとれるものでしょう。・・それなら意味を教えることは、実に曖昧な教育だと分かるでしょう。丸暗記させる教育だけが、はっきりした教育です。

小林秀雄・岡潔『人間の建設』

 

「形から入る」というのは必ずしも悪くないと。

 

成長段階に応じて読み方も変わるのだからまずは「完全理解」などとということを求めずとりあえず手に取り、何度も読むべしということです。

 

このことは小林秀雄に限らずショーペンハウエルという哲学者も同様のことを述べています。とりあえず流行を追うのではなく名盤を熟読しましょうと。

 

したがって読書に際しての心がけとしては、読まずにすます技術が非常に重要である。その技術とは、多数の読者がそのつどむさぼり読むものに、我遅れじとばかり、手を出さないことである。・・むしろ我々は、愚者のために書く執筆者が常に多数の読者に迎えられるという事実を思い、つねに読書のために一定の短い時間をとって、その間は比類なく卓越した精神の持ち主、すなわちあらゆる時代、あらゆる民族の生んだ天才の作品だけを熟読すべきである。

ショーペンハウエル『読書について』

 

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■『論語』が日本人にとって重要な理由

その上で、『論語』が日本人にとって重要だと考える理由を書いていきます。

一言でいますと、日本人にとって思想の根幹と言える書物だからなのです。

 

 

 

つまり、あらゆる日本人が持つ思想(常識)の根底に『論語』があると言って良いのです。

 

だからこそ、『論語』は初めて読むときでも、どうも見慣れた教訓が多々見られるわけです。(既視感的な)

 

 

では、日本人にとって思想の根幹とは何かを少しだけ踏み込んで書きます。

根幹というからには、日本の偉大な思想家と言われる人が脈々と受け継いできた思想と言っても良いでしょう。

 

キーワードは二つです。

 

『尊皇攘夷』と『経世済民』です。

 

日本人の思想というのは『武士道』だろうと『論語と算盤』だろうと『代表的日本人』だろうとあらゆる日本の代表的思想がこの二つのいずれかもしくは両方から構成されています。

 

 

少しだけ各々どういった意味なのかを書かせていただきます。

尊皇攘夷とは「*君主を尊び国の脅威となるものはうちはらう」という思想です。

明治維新の頃、尊皇攘夷を叫ぶテロリストのような連中もいたことから一般的にこの言葉のイメージはよくありませんが、一万円札でおなじみの福沢諭吉もバリバリの尊皇攘夷論者です。

 

 

 

尊皇攘夷思想は、江戸時代に入った鎖国下の日本で伊藤仁斎から始まったと一般的には言われ、荻生徂徠、会沢正志斎、福沢諭吉と時代の状況に合わせてプラグマティックに一部を修正しながら日本が近代国家を作る上での礎となりました。

 

 

 

次にもう一つの経世済民をみましょう。 

経世済民とは為政者は「民を少しでも豊かにすべし」という為政者側の心得を記した思想となります。ただ、為政者だけでなく戦後の代表的企業経営者の著書にも概ね記載されており、代表的な日本思想と言って過言ではないものです。

 

 

こちらも実行した先駆者は多数いますが(中江藤樹や上杉鷹山など)、思想としてまとめた最初の人物に私は二宮尊徳をあげます。

 

のちに渋沢栄一やダイエー創業者の中内さん、イオン創業者の岡田さんなどに広がっていくわけですけども日本型資本主義の源流を彼は作ったと私は考えています。

 

一般的には「バカ真面目」というイメージが主流的ですが、私の見立てではダテに小学校などに銅像が置かれているわけではないなと。藩を立て直した実績や民の窮乏を救った数多くのエピソードは単なる「バカ真面目」では片付けられません。

 

真面目な人は歴史上たくさんいますが、日本思想の基礎を作り出したという意味で尊徳の功績はずば抜けているのです。

 

  

さて、話が逸れましたので、本題に話を戻します。

 

今述べた尊皇攘夷と経世済民を打ち出した伊藤仁斎と二宮尊徳が人生を通して読み尽くした本は何だと思われますか。

 

この流れでおわかりいただけると思いますが、『論語』なのです。

 

伊藤仁斎の『童子問』、二宮尊徳『二宮翁夜話』などを読むと『論語』の解説書という読み方も出来るくらい『論語』に拠り所があるのです。だからこそ伊藤仁斎や二宮尊徳などに影響を受けた方の本も無意識に『論語』に影響を受けているのです。

 

 

「中国の古典」ではなく、『論語』は日本人にとっても自国の古典と言ってよいほど日本人にとって基盤となる思想を提供しているのです。そういった意味で『論語』を読まない理由がないと言わせてください。

 

 

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■合わせて読みたいオススメの本

日本思想の源流である本が『論語』であると書いてきました。

 

しかし、日本思想の伝統は1980年以降断絶しているように私は感じています。この頃から現れた大前研一を筆頭としたビジネスリーダーと呼ばれる人により日本の伝統的思想は居場所をどんどん追いやられるようになったのです。

 

アメリカから輸入したビジネススクールの考えが主流的となり無批判に賛美される現代ですが、日本の停滞はむしろこのアメリカのやり方に習ったからではないかと最近いろいろな書籍を読んでいると感じます。

 

 

私が今日書いたことなどは今や「古臭いもの」と切り捨てられる傾向にありますが、古いから悪いものというのは発想としては幼稚です。マキャベリはむしろもともとあったものが廃れていく時にこそ国が滅びると述べています。

 

 

今も変わらず、その思想は輝きを失っていないと断言します。

グローバル時代と言われるからこそ日本思想の原点を学んでみてはいかがでしょう。

 

 

最後に『論語』と合わせて読みたい本を書かせていただきます。

 

尊皇攘夷が学べる本

  • 伊藤仁斎『童子問』
  • 荻生徂徠『政談』
  • 会沢正志斎『新論』
  • 福沢諭吉『学問のすゝめ』
  • 中江兆民『三酔人経綸問答』

 

経世済民が学べる本

  • 内村鑑三『代表的日本人』
  • 二宮尊徳『二宮翁夜話』
  • 渋沢栄一『論語と算盤』
  • 松下幸之助『道を開く』
  • 福沢諭吉『学問のすゝめ』

 

 

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