book review

【第二一回】論争の余地なきおすすめの本ーウラジーミル・レーニン『帝国主義論』ー

【第二一回】論争の余地なきおすすめの本ーウラジーミル・レーニン『帝国主義論』ー

いつもご覧いただきまして誠にありがとうございます。

書評担当北畑淳也でございます。

 

前回20回目を迎えられましたが、今後もこれからの時代を見透す上でぜひおすすめしたい一冊をご紹介していきたいと思います。

 

 

相変わらず自己満の本ばかり紹介しておりまして、巷のベストセラーでも紹介しろと言われそうですが、基本的にその意向は今後もありませんのでよろしくお願いいたします。

 

 

今回紹介するのはかの有名なウラジーミル・レーニン『帝国主義論』です。

 

私他のブログなども運営したりいろいろとネットでコメントすることが多いのですが、一般的に左翼、在日、パヨクと罵られています。

 

 

そんな中、今回この書物を放り込むわけですからもう自らで左翼と認めたものと思われるかもしれません。

 

 

ただ、レーニンの『帝国主義論』というのはそういった軽薄なイメージと異なる本であることをあらかじめお伝えしておきたいと思います。

 

確かに、レーニンは批判されてしかるべき人物でもありますから、彼の政治人生すべてを賛美することはできません。

 

しかしながら、それでもなお『帝国主義論』は一読に値します。

我々が今なお生きている資本主義社会の問題点をこれでもかと明確に捉えた本なのです。

 

■目次

 誤って理解される資本主義の本質

 ▶グローバル社会で起こること

 ▶合わせて読みたいおすすめの本  

■誤って理解される資本主義の本質

グローバル時代、大競争社会、国境なき世界と言われて久しいですよね。

資本主義がそのフロンティアを求めて国境を飛び越えたり、資本が軽々と世界中にばら撒かれる時代となりました。

 

 

世界の隅々に資本が行き届き、資本主義が最終局面に入っている気配さえ感じさせます。

 

 

そういった激動の時代にあって「資本主義」とは何かという原点を改めて探求することはこれからの時代の行く末を予想する上で極めて重要です。

 

 

最近はとにかく「時代が変わるから外国に打って出ろ」、「既存の秩序を解体しろ」、「英語を子供に学ばせろ」「公営部門を民営化しろ」とか軽薄な思想が跋扈していますが、今こそ冷静になる必要があります。

 

なんというか真冬なのに上着を脱いで外に行こうとしているんですよね。

 

 

 

さて資本主義とは何かを考えてみましょう。

これについては上げ始めるとそれはもうキリがありませんので、今回は一つに絞ります。

 

グローバリストがしたり顔であげているにも関わらず誤った説明を取り上げます。

 

 

それは「自由競争」こそが資本主義の本質だというものです。

 

 

だからこそ、最近の知識人からは国家を解体したり、民営化を推進すればすべて良くなるという発想が生まれてきます。他には、「シリコンバレーでは規制が少なく個人が起業しやすいからイノベーションが起きている」とかその手の妄想もだいたいがこの思想に支配されていると言って良いでしょう。

 

 

さて本題です。

レーニンの偉大さは資本主義の初段階においてすでにこのデタラメを見抜いていたところにあります。

小規模経営者の働きに基づく私有財産、自由競争、民主主義ーこれらのスローガンは、資本家とその手先である新聞・雑誌が労働者と農民を欺くのに使ってきたのであるが、いずれも遥かに遠い過去のものとなった。
ウラジーミル・レーニン『帝国主義論』

 

 

では、レーニンは資本主義の本質をどう考えたかですが、これは『帝国主義論』の中で繰り返し述べられています。

 

その一節をご紹介いたします。

いかなる独占も存在しない場合、自由競争は資本主義と商業を発達させるだろう、と仮定してみよう。ところが、商業と資本主義の発達が急速であればあるほど、生産と資本の集中はますます強まる。そして、そのような集中が進めば、その結果として独占が出現する。しかも現実には、独占はすでに出現済みなのである。ほかならぬ自由競争を母体として!今、独占の発達速度が鈍化し始めたからといって、それは、自由競争を正当化する論拠とはならない。と言うのも自由競争は、自ら独占を生み出した後、不可能になるからである。
ウラジーミル・レーニン『帝国主義論』

 

レーニンは「独占」こそ資本主義の本質であり、「自由競争」は単なる過程でしかないと述べているのです。(この状態を帝国主義と呼んでいる)

 

 

ちなみにここでいう「独占」は一社のみでの独占を意味することもありますが、もう少し広義に捉える必要があります。寡占やカルテルという言葉をイメージしていただければ良いでしょう。

 

 

競争しているのであればデフレ圧力がかかるはずなのですが、価格の不自然な釣り上げなどが平然と起こり始めたら帝国主義は始まっていると言えます。

独占的資本主義が出現すると、資本主義の矛盾がことごとく深刻化する。それがどれほどのものかは、周知の通りである。物価が高騰し、カルテルによる抑圧が深刻化する、ということを指摘すれば十分であろう。このような矛盾の深刻化は、過度期の歴史を動かす原動力の一つとなる。
ウラジーミル・レーニン『帝国主義論』

 

 

さてレーニンがしたこの指摘の正しさは難しい本を読むまでもなく、あなたの利用する製品やサービスを考えればわかります。

 

例えば、あなたのスマホの料金がどこのキャリアを選んでもそう変わらないのではないでしょうか。

 

ただ、競争原理など消滅しつつあるために値段が落ちないのです。

価格競争が起きるのは一時的なものであり絶対に恒久的なものではないのです。

 

 

 

なおレーニンは『帝国主義論』で銀行をやり玉に挙げています。

これは今なお言えますが銀行はどこを選んでも変わらないのは「自由競争」など存在しないことを教えてくれるいい例でしょう。

 

 

 

目次にもどる

■グローバル社会で起こること

最近話題のグローバル化というのは資本が国境の中で収まりきらずフロンティアを目指して外国へ飛び出していく現象を指すと私は考えています。

 

このフロンティアの奪い合いが終わる時、資本主義というパラダイムが終わりに近づいていると言っても良いかもしれません。

 

 

では、そのような状態になったら何が起こるか?ですが、もちろん「自由競争」など存在しません。180度反対の世界になっています。

 

 

現在よりさらに少数の資本による「独占」が進み、不自然な値上げやサービス品質の低下が始まるのです。

 

 

これって結構言ってみると当たり前の事なんですが、どうも資本主義の本質を「自由競争」と考えている人はその考えにならないそうです。

 

 

卑近な例としては今話題のビットコインです。

あれを支配者なき貨幣としてやたらと持ち上げる知識層が増えています。

どうも「見えざる手」が存在していると考えている人が多いようですね。

 

 

 

確かに国家権力の関与はありません。

一見、全世界で理想の世界が出来上がっているように思います。

 

 

ただ、本当に「自由」で素晴らしい貨幣でしょうか。

既存の通貨を淘汰するでしょうか。

 

 

 

私にはどうもそうは見えません。

国家が支配しないのであれば別の支配者が現れるだけの話です。

*エマニュエル・トッドがすでに指摘していますが、ユーロがビットコインの末路を予想しています。個々の国家に通貨発行権がなく、巨大資本に貨幣を支配されています。

 

*エマニュエルトッド・・・フランスの著名な歴史人口学者・家族人類学者。主著は『帝国以後』『グローバリズムが世界を滅ぼす』など多数。少子化の要因に女性の高学歴化を上げるなど極めて興味深い研究が多い

 

要するにグローバル化とはより強固な独占誕生の前兆以外の何物でもないのです。市場を独占され競合が淘汰されるにつれ不当な値上げが起きるでしょう。

 

好例として今は安いと大好評のアマゾン社ですが、今後もそれが続くでしょうか。

プライムなどはすでに値上げが始まってますが、他でもない市場の駆逐が済んだのでデフレ圧力がなくなっただけの話です。

 

アマゾンは短期的利益を捨て、極度に安い値段で競合を破壊してから利益を取りに行くというかなり長期的な戦略をとっているように私には見えます。

 

目次にもどる

■合わせて読みたいおすすめの本

では、グローバル時代に生き延びるにはどうすればいいのか?というのを考える時また振り出しに戻るのですが、「アジアに打って出ろ」「英語を勉強しろ」「プログラミングを学べ」「MBAをとれ」と言ってる人が多すぎるんですね。

 

これが正しいと考えるのも一つがですが、私の見解はいずれでもありません。事態は自助努力で超えられるレベルを超えています。

 

 

最後に、その答えを示し得るおすすめの本をご紹介して終わりといたします。

  • フリードリッヒ・リスト『経済学の国民的体系』
  • アーネスト・ゲルナー『民族とナショナリズム』
  • ハイマン・ミンスキー『金融不安定性の経済学』
  • トマス・ホッブズ『リヴァイアサン』
  • アダム・スミス『国富論』

 

歴史は進歩するのではなく、歴史は繰り返すということをこれらの本はまざまざと見せつけるでしょう。

 

 

Read For Action –日本最大級の読書会コミュニティ

 

目次にもどる