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チャリティーとソーシャル・ビジネス

チャリティーとソーシャル・ビジネス

『ビッグ・イシュー』という雑誌、ご存知だろうか?

写真にある右側のボブ・ディランの肖像が表紙の方は、先週、表参道交差点のみずほ銀行前で買ったもの。左側の最新号(2018/11/1号)は、渋谷・東急本店前の道端で購入した。

この雑誌、“The BIG ISSUE” は、1991年にイギリスで発刊されて以来、世界の各地で、各国版が発行されている。日本版は、2003年に発刊されている。

コンビニや書店には売っていないが、各地の街角で買うことができる。販売している人は、みな、ホームレスだ。彼ら販売員は、「ベンダー」と言われ、最初の10冊を無料で提供され、以後は1冊170円で仕入れる。定価は現在、350円で、1冊ごとに180円が、ホームレスの人たちの収入となる。ウィキペディア情報だが、エリザベス2世も購入したことがあるとのことだ。

ISSUEという単語の意味は、「問題点・論争のテーマ」という意味があり、また、「発行する」という動詞としても使われる。大きな問題の提起、ということだろうか。それだけを見ると、政治的意図が隠されたものかと勘ぐりたくなる人もいると思うが、そうではない。

この雑誌のスタンスは、ホームレス支援という社会福祉の目的だけではない。その他の社会問題や、音楽、文化なども扱っており、情報雑誌としてのエンターテインメント性も追求しているというところにポイントがあるのだ。実際に読んで見ればわかるが、読み応えのある記事が多く、料理のレシピなどのコーナーもある。

チャリティーとビジネスが両立するという良い例が、ここにある。

しかし、危惧する点もある。最盛期は3万部(1号あたり)を売り上げていたが、現在は2万部を下回っているという。日本版の運営会社である、有限会社ビッグイシュー日本は、2年連続での赤字となっている。

ビッグイシューは、ソーシャルビジネスではないのか?ビジネスなら、継続できなければ意味がないのではないか?

赤字になっても、会社をつづける意味は?と取材を受けた、代表の佐野章二氏は、以下のように答えている。

「ホームレス問題の解決に挑戦して、その結果として、販売者が減り、販売冊数が減って、赤字が出てくる。私たちはこれを「ビッグイシューのジレンマ」と呼んでいますが、ホームレス支援の活動を進めた結果、ここ2年くらいで顕在化してきたのだと考えています。」

「私たちの活動は、ホームレスの人をなくすことが目的です。だから、最終ゴールは、ビッグイシュー社がつぶれること。ただ、現在でも、110人以上の販売者がいます。赤字になったからといって、すぐに彼らの仕事の場をつぶすわけにはいきません。」
(以上、弁護士ドットコムNWESより。https://www.bengo4.com/internet/n_6875/)

「最終ゴールは、ビッグイシュー社がつぶれること」とはいうが、やはり、それは、理想社会の到来まで待っていてもらいたいゴールである。何か対応策はないのか。

昨年より、ビッグイシューは、通信販売とオンライン販売を開始した。シンプルな対応策だが、書籍の販売や、講演会勉強会の開催、広告収入(企業サポーター)といった収入源の拡充も必要だろう。

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ただ、このビッグイシューの問題は、ビッグイシュー社だけの問題にとどめていてはいけないと思う。

私たち日本人の意識も、問われていると考えるべきだ。

これを強く感じる出来事があった。私は、先日、最新号のビッグイシューを買ったあと、「どんな人が買うのかな?」とふと興味がわき、しばらく遠くで観察をしていた。女性、女性、女性、女性、男性、女性、女性・・・と続き、7人目を見届けて、仕事に戻った。

偶然かもしれないが、購入者のほとんどが女性、しかも、そのうち4人が、外国人だった!

日本人は、「やさしい」と言われる。親切な人も多いし、助け合いの精神もある。しかし、これらの美徳は、内側だけに向いてはいないだろうか?

「チャリティー」(カリタス)という言葉がある。もともとは、キリスト教の用語だ。家族愛や、努力なしに自然と湧き上がる愛情・で・は・な・い・、いわゆる、「汝の隣人を愛せ」「汝の敵を愛せ」の「愛」がチャリティーである。

日本人にチャリティーがないとまでは言わないが、日本人の優しさは、身内への優しさ、知り合いへの優しさ、世話になった人への優しさ、に閉じてしまってはいないか?とくに、日本人の男性諸君よ!

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ビッグイシュー日本は、今年で15周年だそうだ。
(https://www.bigissue.jp/2018/09/6571/)
いろいろなイベントが開催されており、講演会や勉強会も開催が依頼できるらしい。私は、12/5の「とことん語ろうベーシック・インカム!~AI時代の仕事創造の土台になるか?~」に行こうと思っているので、興味ある方もぜひ。(https://www.bigissue.jp/event/151/)

(文責:原田広幸)